「あはは・・・主として申し訳ないね。ろくに給料も払ってあげられない」
フルフルとロークは頭を振る。
「それは違います。リズ様はお優しすぎるのです。普通、こんなことになったら給与なんて支払わず全員解雇が普通ですよ。あなたは優しすぎる。こちらで働いてない分も給与を支払うなど…普通の貴族がすることではありません」
リズは苦笑するしかない。
確かにそうだ。
全員に暇を出し、今まで働いたぶんの給与も支払わない貴族がほとんどのこの時代。
信用をなくして没落していく貴族を、仕事上たくさんみてきた。
人を信用しない者は信用されない。
この考えはロークからの教えも大きい。
自分自身が生活するための最低限のお金があればよいと、リズは思う。
たくさん持っていても、良くないことに使う気が起きることは、仕事上様々な人間を見知っているからだ。