「これで最後か?では行くぞ、時間がない」



そういうと、コツコツと玄関の外へ消えて行こうとした。








「ま、待ってください!!」




少女は叫んでいた。



そして階段を一気に駆け下りる。






ゆるりと少年は振り返った。


「何か?」





少々冷めた目で問う。



怖気づくも、フェニルは必死に言葉を綴る。







「あ、あの、お名前は!?」




少年は目を見開き、一瞬だけ驚いた顔をすると、ふっ、と表情を和らげた。






「リズ、リズ・シュトラールだ。覚えておいて損はないぞ」





そう答えると背を向け歩きだした。