事実、本当に他人に見せることないような小汚く、狭い部屋を与えられていた。



一応、掃除などはしているつもりだが、毎日この大きな屋敷の掃除をするだけでも一苦労。



自分の部屋の掃除をする余力は残っていないのが現実。



「では、別の部屋へ行きましょう。手入れはあなたが毎日してくださっているのでしょう?」




青年はあくまで優しく話しかけてくる。



「え、でも、ご主人様に見付かってしまっては……」


「大丈夫。私が何とかするから。今日はフカフかの布団でゆっくり休むといい。そうしたら…、明日はいいことが待っているよ」


少々言葉を濁したことに、疲れきっていた少女は気付かなかった。



この人なら本当になんとかしてくれそう。


そう感じた少女は、おとなしく従う。