あえて口は挟まない。


ただ椅子に座り、対面で優雅な仕草で見つめ続ける。






少女は苦し気に続ける。










「…そして、父が死にました。
そしてベルの態度は急変したのです。
屋敷のすべてのことを取り仕切り、気に入らない使用人は全てやめさせられました。
自分の気に入った若いものたちでやらせていたものですから、すぐにこの屋敷は傾き始めました。
没落する前にと、使用人たちは金目の物を持って、我先にと逃げていきました。
それから私は使用人になったんです
この家にはもう何もないからあなたがすべてやりなさい、と。
私に拒否権はありませんでした。
最初の頃はまだよかったのですが…やることなすことうまくいかないと、八つ当たりされるようになってきたのです…」




「さぞかし辛かったでしょうね」



シュトラールが、抑揚のない声でつぶやく。