「よし!!」
バンっという音と共にエスメラルダが立ち上がる。
フェニルは目を見開いてエスメラルダを見る。
「行くわよ!」
エスメラルダは踵を返し、出口へ向かう。
「ちょっ!エスメラルダ…エルダっ!!どこに行くの!?ちゃんと言っていかないと…」
その言葉に少し苛立ったのか、眉間に皺を寄せて言い放つ。
「どこだっていいでしょ!!そんなに大事なら、自分で探しなさい!って言っておいて頂戴、ミサちゃん!!」
なにやら意味深な言葉を残してエスメラルダは出て行った。
フェニルは大慌てでそのあとを追う。
「ごめんなさい!ミサちゃん、伝言お願いね!!」
フェニルが出て行くと、店内は急に静かになった。
『これは骨が折れますねぇ~』
何処からかそんな声が聞こえた気がした。