そんなことさえお見通しとでも言うように、紹介屋は振り向きざまに言う。



「あ、伝言はミサちゃんに伝えてくだされば分かりますので~。あと、鍵は自動的に閉まるのでそのまま出て行って下さって構いませんから~では~」




今度こそ完璧に立ち去ってしまった。


エスメラルダは相変わらず宙を見つめたままだった。



エスメラルダに話しかけるのはなんだか悪い気がして、フェニルはなんとなくミサちゃんに話しかける。


「ミサちゃんはいつからここにいるの?」




当然返事はない。


しかし、フェニルはなおも話しかける。


「私にもミサちゃんみたいな可愛い子がいたんだけど…ずいぶん前にお別れしちゃったんだよね…」


遠い過去を思い出し、フェニルの目には涙が浮かんでいた。