キルシュを後にして、フェニルとエスメラルダは裏路地を歩いていた。 あの紹介屋の元へ。 先を歩くのはフェニル。 うろ覚えの道を必死に思い出しながら小路を進む。 エスメラルダはその後ろを優雅にヒールを鳴らしながらついていく。 すれ違う人々は必ずといって良いほど振り向く。 それほど、この場に不似合いな様相なのだ。 ある分かれ道でフェニルは立ち止まった。 「ここ、一回通ったわ…」 そう、俗に言う、迷子の状態だった。