その声にようやく虚ろだったリズの瞳が、覚醒したかのように輝きを取り戻した。
「…フェニル、本当に良いのか?かなり危険だが…」
いつになく心配そうなリズが言う。
そんなリズに対して、何事もないかのようにフェニルは答える。
「お父様の事を知ることが出来るいい機会だと思っているんです。私の中でお父様はただ優しかったイメージしかないので…だから、あまり気にしないで下さい。私の我が儘ですから」
その言葉に覚悟を決めたリズがフェニルを真っ直ぐ見て答える。
「わかった。俺が命に代えても守る…」
真剣な表情に聞いていたフェニルの顔が朱に染まる。
そして鼓動が早くなるのがわかった。
「私…」
フェニルが何か言いかけた。
そのとき。