上司の目がスゥっと細くなる。



「簡単に言うと囮捜査だ」



予想はしていたことだったが、リズは驚きに目を見開く。


「…ある程度は予想していましたが…モンテペール嬢を巻き込むのは危険すぎませんか?」



リズはもっともなことを言う。


いくらフェニルの父親が元秘密の部署出身だとしても、素人のフェニルを使うほど人員には困っていないはずだ。



「シュトラール、君もわかっているはずだが、これはお嬢さんの護衛も兼ねている。もっとも、この話を受ける気がないのなら、別の護衛を用意させるが…命の保障はしないぞ。ウチも人が余っているわけではないからな」



う、っとリズは言葉に詰まる。