「犯人の顔は見たか?」
不意に振られたリズだったが、あらかじめ用意していたかのようにスラスラと応える。
「顔ははっきりとは見ていません。カウボーイハットのようなものを目深にかぶっていましたから…しかし、声から判断すると、そう年をとっているような感じは伺えませんでした。銃弾からは何かわかりましたか?」
上司は目を細める。
「何がわかったかわかるか?」
しばし考え込む。
「そう仰るということは何もわからなかったということですね」
「そのとおり。銃弾からは何もわからなかった」
「ただ、犯人は左利きだったということのみですか。馬を乗り捨てていったようですが、あれは盗品だったのでしょう?」
「そうだ。少し前にある屋敷から盗まれたものだった」
「それで、私たちは何を調査すればよいのでしょうか?」
あらかた説明は終わったと見て、リズは本題を切り出す。