「昨日は犯行時間が早すぎた。これが何を意味するのか。お嬢さんはわかるかな?」


不意にフェニルに問いかけた。


「え、っとですね…ひとつは、全くの偽者だというケースです。もうひとつは…盗賊たちが、そのときの警邏隊の動きを知るため…新たな犯罪を犯すための下調べでしょうか?」



手探りしながらの答えだったが、上司は満足そうな顔をしていた。


満足そうな顔をしているといっても、たぶんリズにしかわからないだろう。


それほど、微々たる変化だった。



「大方後者だろう。だが、彼らは大きな間違いを犯した」









「襲った馬車にシュトラールが乗っていたのは、向こうにとっては災難だったな。こちら側にとっては、好都合だったが」