「そうだな。お嬢さんがそこまでわかっているというなら、私のほうも手札を一枚見せるとしよう」
そういうと足元に置いてあった鞄から書類を取り出す。
二人の前に一部ずつ。
二人は書類を見つめるばかりで、手を出せずにいた。
「心配はしなくていい。小細工はなしだ。そこにはこれまでの盗賊の足取りと、手口をまとめてある。参考までだが」
冷め切って香りが飛んでしまった紅茶をすする。
「確かに…私が追っていたときもこのような手口でした…しかし、昨日は…」
「そう、昨日の反抗は明らかに違っていた」
上司の眼光が一段と鋭くなる。