「そう。君もそう言うのか」 「君も?」 「いや、なんでもない。少し昔を思い出しただけだ。話を続けよう」 しばしの沈黙。 その時、二人分の紅茶が運ばれてきた。 「長い話になるかもしれない。まずは喉を潤すといい」 そういうと上司も紅茶のカップに口をつけた。 「まずは自己紹介をしよう。私の名はクロム・デュース。仕事柄、あまり本名は名乗らないので、出来れば内密にしてほしい」 そう告げると、フェニルは緊張した面持ちで頷いた。