五分後、階段を駆け下り、フェニルが玄関に姿を現した。 「お待たせしました」 「いや、そんなに待ってないよ」 穏やかな笑みをたたえてリズが言う。 昨日の静けさなど何処へやら、街は活気で満ちていた。 朝の喧騒の中を二人はキルシュへと向かった。 その二人の背中を、爺は窓からそっと見守るのだった。。。