「ツレナイ男ね。今日はゆっくりすればいいじゃない。家にいいワインがあるわ」 「いや、今日はやらねばならないことがありすぎる。ほかの男でも誘って飲んでろ」 2杯分の酒代にしては多すぎる額をカウンターにおいて立ち去る。 カラン、リズのグラスの氷が鳴る。 「…こう見えても結構一途なのよ…」 その呟きは静かに戻ってきていたバーテンダーにしか聞こえていなかった。