「これだからあなたはいけないのよ。人の気持ちなんてこれっぽちも考えてない。あの娘のことも、私のことも」




最後の一言は投げ遣りだった。



「何がいいたい」



「…なんでもないわ。忘れて頂戴。仕事に私情は持ち込まないつもりだったのに…。とにかく、あのお嬢さんどうするつもりよ」



最初に比べて余裕がなくなってきている。



「すべては明日、フェニル本人が決める」



「ずいぶんと甘いこと。もしかしたら今頃息の根を止められてるかもしれないのに?」



意地悪げにリズを挑発する。


「それはない。さすがに今日はもう動きが取れないだろう。話がないならこれで失礼するが?」



早々に席を立つ。