「早速だけど仕事の話よ」
グラスを弄びながらエスメラルダは口を開く。
「今回の件、危険すぎるわ。特にあのお嬢さん」
何もかも知った口調で話すエスメラルダに、少々ムッとしたが、同じ案件をそれぞれ別の方面から追っているため、情報交換は非常に重要だ。
エスメラルダはなおも話を続ける。
「あのお嬢さんはこちら側に入り込みすぎた。もう戻れないところまで。今夜盗賊に襲われるなんて特に最悪ね。襲われなかったらまだ間に合ったのに」
リズが心の中では理解していたことをスラスラ述べられる。
そのとおりだ。
あの時まではまだかろうじて後戻りできたのだ。
それをせず、深入りしてしまったのはリズのほうだ。
責任はリズにある。
「責任は取るつもりだ」
「あなたの言うセキニンって何?生活の保障?安全の確保?笑わせないでよ」
全く笑っていないエスメラルダが問いただす。