「私も隣に座ってもいい?」 控えめに切り出すフェニル。 よほど一人になるのが恐いのだろう。 しばしの沈黙のあとリズが口を開く。 「寒くても構わないなら」 そういうと、自分はさっさと御者台に向かってしまった。 てっきり断られると思っていたフェニルは、ようやく言葉の意味を理解し、御者台に向かって走った。 「あ、ありがとう!!」 頑張って台に上ろうとするが、なかなか上がれない。