視線に気付いたフェニルはすぐさま顔を引っ込めた。


辺りが静かになったのになかなか戻ってこないリズが心配になったのだろう。



「そうですね・・・盗賊を目の前にして少々冷静さを失っていたようです。申し訳ありませんでした」



素直に自分の非を認める。



「今日はもう遅いから、このままお嬢さんを送って差し上げなさい。詳細は明日、そうだね、キルシュにでもしようか。久しぶりにあそこのケーキも食べたいし」



リズは頷く。



「では明日、9時でよろしいですか?」


「そうだね。あ、あとあのお嬢さんの話も少し聞きたいから呼んでおいて」


意外な発言に驚く。