御者が恐れているもの、それは今世間を騒がせている盗賊だ。 夜な夜な高級住宅街からでてきた馬車ばかりを襲って利益をあげているときく。 この案件もリズが追っていたものだが、謹慎中の身にとっては関係のない話しだった。 それに、盗賊が出没する時間帯は被害者たちの話を聞くともっと遅い、深夜の出来事だった。 そんな、出会うか出会わないかわからない話をしても仕方のない話。 この時のリズはそう思い、静かに口を閉じた。