カタ、コト、 薄暗い夜道を馬車が二台。 一台は贅をこらして着飾る馬車。 もう一台は、かぎりなく質素だが少々手荒な運転でもビクともしないような造り。 早さを競ったなら必ず競り勝てる。 どちらが、どちらのものかは言うまでもあるまい。 二人が乗っているのは女主人の馬車。 二人は対面になるように座り、他愛もない会話を続ける。