出来上がった花束を受け取り、時間もちょうど良い頃合いになったため、屋敷に向かうことにした。




二人の間に会話はない。










いつの間にか犯人を追い詰めるような口調になっているのをリズ自信は気付いていない。



気まずい雰囲気が流れる二人の間をすばやく駆け抜ける物体が一つ。



「みゃあ」


その物体が不意に立ち止まり二人に向かって鳴いた。









「ミラ…また抜け出したのか…」


呆れたような声をだすリズに、フェニルが、ぷっと吹き出す。



怪訝な顔をするリズに、フェニルは笑いながら謝る。




「すみません、ミラちゃん行きましょう。リズに怒られないうちに」



目を見開いて驚くリズに、フェニルは続けていう。



「呼び捨てでいいって言ったのはリズですよ?前言撤回するなら今しかないですよ?どうします?」


みゃあ、とミラも返事を促すかのようにタイミングよく鳴いた。