リズは黙っていた。



フェニルも黙っていた。














その沈黙が重くのしかかってこようとしたとき、フェニルがポツリ、ポツリと話し始めた。






「昔、同じようなことがあったんです・・・・母が・・・本当の母がまだ生きていたころ・・・」




フェニルは気持ちを整理するかのように大きく息を、吸って吐きだした。





「母はもともと病気がちな人でした。その日も朝から具合が悪そうで。だけど、行ってきなさいっていったんです。今日はごちそう作って待ってるからって」





また涙がこぼれてしまいそうになるのをこらえながら言葉を紡ぐ。



「結局その日はごちそうではなくなりました。私が出掛けた後母が急に倒れて、そのまま帰らぬ人となってしまったんです」