その部屋は暖かい光が降り注いでいた。




全面ガラス張りのサンルーム。



眩しいほどの光が入ってこないように部屋の外の木々は構成されているようで、明るいが居心地がよい空間。




太陽光のせいか、仄に暖かい。



子猫は我が物顔でソファーの一つを陣取っていた。




「あそこはミラちゃんのお気に入りなのよ。あそこにお客様が座ろうものなら猛抗議よ。あなた方は空いている好きなところへ座って」




カタン、とテーブルへトレーを置くと子猫の隣へ座る。



二人は婦人らの対面のソファーへ腰掛けた。





コポコポコポとカップに注がれる紅茶の音だけが部屋に響く。





その間にも子猫は気持ち良さそうに寝入っていた。




カチャ、と二人の前に一脚ずつのカップがおかれる。



「どうぞ、あまりおいしくないかもしれないけれど」



そういうと、自分のカップに口を付けた。



「いただきます」

「いただきます」



口を付けた瞬間、何とも言えぬ複雑な香りが鼻腔をくすぐる。


「おいしい!」

「ほんとだ、今まで味わったことのない香りだ!何の茶葉を使っておいでなのですか?」



今まで冷静だったリズが少し興奮気味に質問する。