「そうですねぇ、現在掃除婦の紹介は二、三ありますがどこのお屋敷も独身の男性がいらっしゃいますねぇ。あちらの希望も年配の方だったので、掃除婦の紹介はナシ。と、なると…」
滑らかな顎に手を沿え、再び考え込む。
リズはもう、自分の仕事さがしなどしていられなかった。
そして、とても重い口調で答えを告げる。
「残念ながら…」
その言葉にフェニルは涙腺が緩む。
自分は仕事すら出来ないお嬢様だったのか、と。
うつ向くフェニルをみて、紹介屋は慌てて言葉をつむぐ。
「そうではなくて…フェニルさん一人にご紹介できる仕事はないということです」
一言一句を頭の中で反芻する。
「…もう一人いれば紹介してくださるということですか?」
「そうですねぇ、そうなります」
あっけらかんと言い放つ。