「今日は天気もいいし、小鞠、一緒に東市へ買い物に行く?」
「ええ? 私も行っていいのでございますか?!」
「行きましょう。たまには小鞠だって行きたいわよね。嗣爺、留守番してくれる?」
瞳を輝かせる小鞠とは対照的に、嗣爺の顔は曇った。
「女だけで買い物とは、危険でございますよ」
「大丈夫よ。すぐ帰ってくるから」
そう聞いても嗣爺の渋い顔は変わらない。
東市への買い出しは、いつも嗣爺が行く。
時々花菜も行くことはあるが、あくまで嗣爺が一緒に行くことが前提だった。
三人で行ければいいのかもしれないが、そうなると別の問題が起きる。何しろ花菜の両親は生粋の貴族なので、身の回りのことを何もできないのだ。
だからどうしても三人のうちの誰かは留守に残る必要がある。
そして今も「小鞠」と屋敷の奥から呼ぶ声がした。
忙しく首を回して花菜と嗣爺を見比べていた小鞠は、「はーい、ただいま」と返事をして、名残惜しそうに振り返りながら声の方へと走って行った。
「盗賊が増えているそうですし、万が一にも姫さまが攫われでもしたら、爺は死んでも死にきれませんぞ」
嗣爺の心配をありがたいと思いながら、花菜はやれやれとため息をつく。
「こんなに賑やかなのに?」
「ええ? 私も行っていいのでございますか?!」
「行きましょう。たまには小鞠だって行きたいわよね。嗣爺、留守番してくれる?」
瞳を輝かせる小鞠とは対照的に、嗣爺の顔は曇った。
「女だけで買い物とは、危険でございますよ」
「大丈夫よ。すぐ帰ってくるから」
そう聞いても嗣爺の渋い顔は変わらない。
東市への買い出しは、いつも嗣爺が行く。
時々花菜も行くことはあるが、あくまで嗣爺が一緒に行くことが前提だった。
三人で行ければいいのかもしれないが、そうなると別の問題が起きる。何しろ花菜の両親は生粋の貴族なので、身の回りのことを何もできないのだ。
だからどうしても三人のうちの誰かは留守に残る必要がある。
そして今も「小鞠」と屋敷の奥から呼ぶ声がした。
忙しく首を回して花菜と嗣爺を見比べていた小鞠は、「はーい、ただいま」と返事をして、名残惜しそうに振り返りながら声の方へと走って行った。
「盗賊が増えているそうですし、万が一にも姫さまが攫われでもしたら、爺は死んでも死にきれませんぞ」
嗣爺の心配をありがたいと思いながら、花菜はやれやれとため息をつく。
「こんなに賑やかなのに?」