どきどき、どきどき。
これまでに無いほど心臓がなる。
今日は大学の入学式。新しい生活の幕開けだ。

「着席してください。」
司会の先生がマイクを通しどこか緊張を残す上ずった声で話す。
1組だった私は前の方の席で眠気と戦っていた。
理事長が話す声も、学長が話す声も、来賓の人たちの声も、私にとっては子守唄だ。拍手でさえ心地よく聞こえてしまう辺りもう寝るしかないのかもしれない。
1時間近く。長かった式も終わり大学には珍しくホームルームがあった。
ホームルームでは、お決まりの自己紹介がある。私は極度のあがり症で、仲が良い友達の前でも緊張してしまうのに、この空間はしんどいものだ。
みんなが自己紹介しているにも関わらず、順番待ちで緊張して回りの声が入ってこない。
『みんな、ごめんね、これからきちんと名前覚えていくから!』
心のなかで思いつつ近づく順番に恐怖していた。
ついに来てしまった私の順番。深呼吸、深呼吸。
「か,,,垣ノ内まいです。2年間よろしくお願いします。」
よし!言えました。完璧です。
私垣ノ内まいにとっては言えた方。
なんとか言えた自己紹介。友達できるかな?