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「ねぇねぇねえ!この動画面白いから見てみ!」

「あはははっ!ホントだ面白い!!」



たしか、隣のクラスの子達だ。


携帯見ながら歩いてる…。

前、見てないし…危ないよぉ。


先生に怒られちゃうし。










ドンッ!!



「キャッ!!」


色々と心配しているうちに誰かとぶつかってしまったみたい…。


大丈夫かな。


なるべくガン見しないように、チラッと様子を見た。


その女の子達がぶつかった相手を見た瞬間に私は青ざめた。





「…っ」

そして私は体が硬直した。



「ごめんねぇ!葉山君!」

笑いながら謝る女の子達。


「……」


冷たく、鋭い瞳に周囲の空気が凍った気がした。




よりによって葉山君にぶつかっちゃうなんて…。


なんの反応もしない葉山君。

相手が謝ってるのに、何も言わないの?





「え、本当にごめんねぇ!」


ぶつかったの女の子達は、葉山君を覗き込むように謝った。




「…」





反応がない…。


流石に、酷い…と私は思ってしまった。






パンパン

葉山君は、女の子と接触した所を手で叩いた。


うそ…その光景は衝撃だった。


「え、ちょっとまって、普通そこまでする?ただ制服と制服がぶつかっただけだよね?」



「無理」


即答…。


葉山くんはそう一言いって、どこかへ行ってしまった。








「…怖い」


聞こえるか聞こえないかギリギリな声量で、気持ちを言葉にした。



そして心の中では





雪ちゃーーーんっ!!!!





大声量で叫んだ。

雪ちゃんの名を。



助けを求める気持ちで…。