「ごっごめんなさいっ!!実は忘れ物を取りに…」
だんだんと小さくなる私の声。
「ふーん忘れ物ね」
「……」
「……」
ま、間がっ。
絶対怒ってるよねっ
「っだからその、盗み聞きするつもりは本当になくて…本当にごめんなさいっ!!」
私は葉山君に、許してもらえるか分からなくて、怖くなって目を瞑って俯いた。
叩かれたりするのかなっ…、
「…そんなに怯えないでよ。俺が悪者みたいじゃん?別に俺は怒ってなんかないから」
え、怒ってないの?
「…ぁ、本当に?、、」
私はゆっくり目を開けた。
「うん」
葉山君の表情を見ると、少し笑っているように見えた。
私が怖がっちゃったから気を使わせちゃったんだよね…。
でも、葉山君って冷たくて怖い人だと思ってたけど、そんなこと無いんじゃ…
私も蓮沼さんと同じように見た目とか想像とかで決めつけてたから違和感を感じたのかも…。
でも、さっき蓮沼さんに凄い事を言っていたような…。
あっ、そうだ。
勇気を振り絞れ私っ、
今がチャンス…だよね?
「は葉山君…!」
「ん?」
「そのっ、今日の授業で私の代わりに問題を解いてもらっちゃって、ごめんなさいっ!!あ、いや…ありがとうございますっ」
「あー、あれね。俺的には好都合だったから問題ないよ」
好都合…?
え、尚斗の言ってた通り喜んでたの?
「私、てっきり怒ってるのかと…」
「あ、ごめん。思いっきり睨んじゃったからね。いろんな意味で」
いろんな意味…?
どういう意味なんだろうか。