電車に乗ってから、俺の鼓動は鳴り止もうとしない。逆に激しさが増すばかりだ。
「秋星…あっちで何か食べたい物ある?」俺は思い切って聞いてみた。
「…………リンゴ飴…」彼女は少し迷ったように言った。
「わかった。」
「湊くん…いい加減。名前で呼んでくれない?」彼女が言った。
「へ?」つい間抜けな声が出てしまった。
「いや、私は名前で呼んでるのに、湊くんが秋星って言うのに違和感が…」と彼女は言った。
「わかった…志保?で良いか?」俺は聞く。
「うん…」彼女は照れたように言った。

駅に着いた俺達は、電車を降りて外に出る。
人が沢山居た。
「手、離すなよ?」俺は彼女に手を差し出す。
「う、うん。」彼女は俺の手を取ってくれた。