医師に呼ばれ、部屋に入るが彼女は目を覚ましていなかった。

医師によると、特に異常は見られない様子。

怪我も病気らしい体調の崩れもないらしい。


「目を覚まして、異常があるようでしたら声を掛けてください。」


それだけ医師は言うと帰っていった。

ベッドに眠る彼女を見つめる。

黒い髪、少し日焼けした肌………どう見てもシャノワールの人ではない。


「ダヴィ。」

「はい、ロイ様。」

「彼女が目を覚ますまで付き添ってる。ダヴィは休んでくれ。」

「分かりました。ご用があれば、いつでも呼んでください。」

「ありがとう。」


ダヴィが下がり、静けさが部屋を支配していた。

部屋の窓から門を見る。


「黒猫か………。」