「………。」


いつの間にか寝ていたようだ。

静かな部屋に誰もいないと思っていた。

体を起こして見渡せば、ロイが椅子に腰掛けて本を読んでいた。


「ロイ?」


彼が私に気づいて顔を上げた。

さっきも思ったが、ロイは端正な顔立ちをしている。

短めの髪を綺麗にセットし、ブルーの瞳が私をじっと見つめている。


「リン、気分はどう?」

「もう大丈夫みたい。」

「そう。なら良かった。」

「本当にありがとう。」


ベッドに座り、深くお辞儀をした。

頭を下げる私に、ロイが声を掛けてきた。


「リンはシャノワールを知らない?」

「はい。」


下げていた頭を上げて答えた。

ロイが不思議そうに私を見つめているのが表情から伝わってくる。