2.

もともと私に両親は居なかった。
母さんは私を産んですぐに亡くなって、
父さんは再婚してその人のところへ行ってしまったと聞いた。

だから、物心ついた時から私は母方の祖母の家に住んでいた。

『ねえ、お婆ちゃん。もうワガママ言わないから、優太と一緒に住んじゃダメ?』

優太の両親のお葬式に行った時。
泣かない優太を、けれど何処か孤独を感じさせる彼を見ていられなくて、思わずお婆ちゃんにそう言った。

同じ幼稚園に通ってた優太。
家が近いことが分かってからはよく一緒に遊んでいた。

おばさんは美人で優しくて。おじさんは背が高くて面白くて。素敵な家族だった。
今でも、覚えてる。

そんな優太の両親は、交通事故にあって亡くなった。
トラック運転手の居眠り運転が原因だったらしい。

まだ9歳で状況が読み込めなかったせいもあると思うけど、泣かない、泣けない優太を守らなきゃと思った。

私のお願いをお婆ちゃんは『もちろんだよ』って受け入れてくれた。

それから、私と優太の生活が始まった。