普段から運転手の送迎になれているらしい彼女が、俺の反応を伺っている。

ううーん、困ったな。

「爽子さんはどこか行きたいですか?」
「いえ、そういうわけでは・・・」
「では、近くをブラブラしませんか?」
「はい。じゃあ、車は帰します」
「そうしてください」

庶民の暮らしが身についている俺には、車を待たせてデートするなんて無理だ。


とりあえずホテルを出て、爽子さんは車を帰すように連絡をした。

カツカツとピンヒールの音をたてる彼女とほどよい距離を保ちながら、俺たちは並んで歩いた。

「どこか行きたい店は」
言いかけた俺に
「あー、ここ」
彼女の言葉が重なった。

指さした先にあったのは輸入雑貨の店。
かわいらしい動物モチーフの小物が並んでいる。