「とりあえず、どこでもいいから中入んぞ」
「そうだね!」
「で、何が欲しいんだよ」
欲しいものねぇ…………。
「手!」
「は?」
「は?じゃなくて、手ぇ繋いで欲しい!」
私の片手を壱馬に伸ばせば、ダウンジャケットに突っ込んであるのを出しては握ってくれて。
繋いだまま、戻した。
「物でねぇのかよ」
「んー………ないかな!壱馬から初めて好きって言ってくれたし手も繋げたからそれでいいや!」
「あそ」
「壱馬は?何が欲しい?」
「今は温めるもんが欲しい」
「りょーかい!」
壱馬にマフラーを買ってあげると、よっぽど寒かったのかすぐに使ってくれた。