「こ、これ!」
女子は小走りで近寄ってきて、俺の手のひらに飴玉を置く。
「た、誕生日プレゼント!」
は?
「誕生日おめでとう!!」
そう、笑顔で言ってくる。
誰に「おめでとう」と言われても嬉しくもなんともなかったのに。
何だか、嬉しく思う。
女子は言い終わるとすぐにどっか行っちまった。
あとで、その女子が七瀬咲良と知った。
そんで、俺はあいつの笑顔が忘れらんなくて。
咲良に恋をしたんだと思った。
「ねぇ、壱馬」
「あ?」
朝方、目が覚めたら咲良に呼ばれる。
「幸せそうな顔して寝てたけど、どんな夢見てたの?」