「ねぇねぇ!!陽二くん、また浮気だってぇー。」
「嘘っ、またぁ?
で、結果はっ?」
「ご想像通り。」
「うわっ。マジ?
てか、まだ別れない気なんだね。ここまでくると哀れだよね。いい加減気付って感じ。超ウザイ。」
昇降口付近。
俺、沢木陽二は、下駄箱に寄りかかってその会話を黙って聞いていた。
この噂は、もう日常茶飯事。
週一のペースで必ず生徒の話題にあがる。
つまり、俺はそれ程頻繁に浮気をする。
「てかさ、陽二くんも何であんなヤツ…ねぇ?」
あんなヤツなんて、そんな簡単に言われると、すごく腹が立つ。
大事な彼女のこと、けなされるのはいい気がしない。
でも、俺にはそんなことを言う権利はない。
だって、彼女をそんな風にさせてしまっているのは俺なんだから。