「お前なぁ…。魔法使いって何だよ。止めろよ、気持ち悪い。」


「えぇー、何でぇ?」


放課後の教室。


二人きり。


そんなシチュエーションにいちいちドキドキしているのは、きっと俺だけ。


「だってさ?大くんが誘ってくれるなんて、今までじゃありえないもん。やっぱ冬矢のおかげだよぉ〜。」


「何?もしかして俺、褒められてたの?」


「褒めたっていうか…。感謝…かな?」


コイツにとって俺は、シンデレラに魔法をかける魔法使い。


自分をキレイに変身させてくれる、親切な魔法使い。


そして…


シンデレラは憧れ続けた王子様に誘われた。


嬉しそうにはしゃぐシンデレラを横目に、魔法使いは準備に取り掛かる。


舞踏会へ向けての準備。


魔法使いの、最後の仕事…