「ねぇねぇ、ゆうきぃ!!ヒロ君とお城作ったあ!!」
頬を染めて笑うヒロ君の横で、嬉しそうに僕を呼ぶみこ。
そんなことが許せないと思ったなんて、みこは知らない。
「ゆうきぃ?どうしたの?」
不機嫌そうに俯く僕に、真っすぐに駆け寄ってきてくるみこ。
そんなことが、思わずニヤけてしまいそうくらい嬉しいってこと、みこは知らない。
「ゆうきぃ?」
「みこがヒロ君とばっか遊ぶからつまんない。」
「じゃあ、みこ、ゆうきと遊ぶぅ!!」
そう言って不貞腐れる僕の手をギュッと握るみこ。
そんなことに、いちいち緊張してしまうくらい好きだってこと、みこは知らない。
でも、みこは知ってる。
「みこね、ゆうきの手、好き。」
そうやって微笑まれると、つられて笑顔になっちゃうってこと。
可愛い笑顔を向けられると、胸がドキドキしちゃうのは知らないみたいだけどね。
そんな鈍いみこだから、僕の恋が叶うのはまだまだ先になりそうだけど。
いいんだ。
つられて笑顔になっちゃうのは、みこも同じだって知ってるから。
だからまだ、いいんだ。
今はただ、みこが僕を好きになるようにって、こっそり神様にお願いして。
-END-