砂場のもっともっと奥…
薄暗く影のかかったその場所から響いてきた、不快な音。
ギーコ ギーコ
ふと顔を向ければ、小さなブランコに、小さな影が一つ。
気付けば足が動いていた。
まるで吸い寄せられるように、一歩一歩、確実に近づいていく。
トクン トクン…
高鳴る胸は、あの大きな滑り台を見たときの興奮とは違っていて。
それが何なのか、幼い僕には、まだわからなかった。
ただ…
右に寄ったり、左に寄ったり。
不安定にブランコを揺らすその子の瞳を見たその瞬間…
初めてのこの感情が何なのか、一瞬で理解した。
「一緒に遊ぼ。」
頬が火照るのを感じながら、小さなその手を差し出した。
顔を上げた彼女は、想像した通りの白い肌に、大きな瞳をしていた。
それが僕の目には、まるで天使のようにうつったんだ。