「祐希はアンタのことなんて何とも思ってないんだから、調子のらないでよね?」
わかってるよ…
幼なじみ。
祐希にとって私はただそれだけの存在。
わかってるよ…
恋愛対象じゃない。
そんなことわかってる。
だから、
だからせめて傍にいさせてよ?
私は祐希の彼女にはなれないんだから。
いいじゃない、そのくらい…
唇を噛み締めて、そこまで出かけた言葉を飲み込む。
そんな私に、幸はバカにしたよいに言い放った。
「何黙っちゃってんの?ウザっ!!ずるいよね、幼なじみって。そうやって何もしないで傍にいれて。」
“何もしないで”
幸の言葉が頭の中でリピートされる。
何もしないで…?
私が?
そんなの…
「本当ムカつく。幼なじみだからなんて得意気な顔しちゃって。」
……違う!!
バチン!!
「痛っ…何す…んのっ……
……ヒッ ヒック…」
気づいたら手が出てて。
目の前の幸は頬を押さえてしゃがみこみ、大袈裟に泣きだしていた。