「ねぇ、実胡、聞いてる?」


「うん。聞いてる。」


放課後の体育館裏。


定番のこの場所。


幸からの呼び出し。


話はもちろん祐希のこと。


「祐希の彼女は私なの。」


「うん。知ってる。」


「昨日、二人で会ってたでしょ?しかも家で。」


「あぁ、あんなん何でもないよ。祐希は幼なじみだし、あんなん当たり前みたいなもんでさ。近所付き合いみたいなもんだから。」


ニコッと微笑む私。


睨んでくる幸。


「幼なじみだからって彼女いる男と二人で会うとかどうかと思うけど?祐希は迷惑してんじゃないの?いつまでたっても幼なじみとかって言われて。」


幸の言葉に、胸が痛む。


可笑しいな?


誤魔化すのなんて慣れてるはずなのに。


何でこんなに溢れてくるんだろう?


「祐希が言ったんだよ?俺たちずっと仲の良い幼なじみでいようなって…」


「そんなのアンタへの気遣いでしょ?祐希は優しいもん。そんなのいちいち真に受けてないでさっさと祐希から離れてよ。」


冷たいその言葉に、すごく泣きたくなった。


ずっと我慢してきたんだよ?


爆発しそうな嫉妬心を。


ずっと堪えてきたんだよ?


幼なじみ以上にはなれないんだって、溢れそうな涙。


辛い。


そう思わなかったことなんてなかった。


切ない。


そんな胸の痛みを感じなかったことなんてなかった。


だけど、


いっぱい我慢して、


ずっと堪え続けてきたけど、


だからこそ、今こうして祐希の傍にいられるんだから。


そうやって言い聞かせてきたんだよ?


後悔なんてしてないし。


離れようなんて思わない。


いっぱい我慢したんだから。


それくらいいいじゃない。


だって、祐希がいったんだもん。


ずっと仲の良い幼なじみって。


祐希が言ったんだもん…