「必ず帰ってくるわ。どうかみんな息災で」
「お嬢様、どうかお気をつけて!」
涙を浮かべるライラにアーシェリアスの瞳も潤んでしまい、せめて零すまいと笑みを浮かべた。
「いってきます!」
父と兄が微笑み頷く。
アーシェリアスはふよふよと宙に浮かぶシーゾーと共に屋敷を出ると、旅立ちを祝福するような青空を見上げた。
(祝! 破滅エンド回避! 祝! 推しの幸せな未来!)
心の内で盛大に叫んだアーシェリアスは、晴れやかな気持ちで息を吸い込み、ザックの待つ馬車へと心を踊らせながら駆け寄った。
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