試食の結果は、食べている時からほぼ見えていた。

ゆらたま亭の皆から絶賛されたひんやりソフトの厚焼きパンケーキを宿の看板メニューとすることにし、明日からさっそく売り出すこととなり、アーシェリアスは胸を撫で下ろしながらも喜んだ。

明日は朝からノアが描いたパンケーキのイラストのチラシを配り、アーシェリアスは厨房で手伝いをすることになっている。


「さぁ、お待ちかねのリフレッシュタイムね!」


夕食を終えた一行は、三つある貸し切り露天風呂のふたつを借りると、男と女に分かれて十畳ほどの広さがある脱衣所に入った。

シーゾーはペットの扱いとなる為、残念ながら部屋でビスケットを食べながらお留守番だ。

アーシェリアスはウキウキしながら籐の籠に手荷物を置いたのだが、何故かノアは脱衣所の入り口で立ったままひとり唸っている。


「ノアちゃん、どうしたの?」

「えっとぉ、いいのかなぁっていうか、アーシェと一緒に温泉に入るの恥ずかしいなぁっていうか」


まごまご、もじもじと照れた様子のノアに、アーシェリアスはクスッと笑った。