ハート形に組み合わせた卵焼きを今まさに食べたノアは、とろけそうな顔で頬を押さえた。


「なにこれ甘い~!」


普段はバターで炒めたスクランブルエッグや野菜入りのオムレツを食べているノアは、砂糖とみりん、塩を加えた厚焼き玉子の味にほっぺが落ちそうだと喜ぶ。

ふわふわとした食感もお気に入りとのことで、アーシェリアスが「たくさん食べてね」と言うとノアが「アーシェは料理の天才だね」とべた褒めした。

日本ではありきたりな食事なのだが、アーシェリアスは素直に嬉しく思い「ありがとう」と笑みを零す。

まろやかな味わいのポテトサラダも三人に好評で、そこにシーゾーも加わればあっという間にランチボックスは空になった。

アーシェリアスのお弁当で体力が回復した一行は、再びホロ馬車に乗り込む。

新しく加わったエヴァンが、ノアとホロの下で何やら騒がしい会話を繰り広げるのを耳にしながら、アーシェリアスは苦笑し、ザックは溜め息を吐くと手綱を引いて次の目的地を目指した。