細かいことはスルーしたエヴァンはフォークをレモンの添えられた唐揚げに刺した。


「これをおにぎりに入れるのか?」

「はい、今回は別々になっちゃいますけど、良かったら食べてみてください」

「唐揚げ……これは肉か?」

「そうです。鶏肉に片栗粉で衣をつけて油で揚げたものです」


ファーレンで鶏肉の調理法といえば、煮るか焼くかだ。

揚げ物といえば魚という印象が強く、肉を揚げるのかと不思議そうにしながら唐揚げを口元へ運ぶ。

そうして、一口噛むと口内にじゅわっと広がる肉汁に、エヴァンは先ほどと全く同じように「けしからん美味さだ!」と感動を伝えた。


「外はサクッとしているが、プリッとした肉から溢れる肉汁がジューシーでいい!」


醤油ベースの下味がしっかりと染み込んだ唐揚げをエヴァンはいたく気に入り、おにぎりと交互に食べる。

タンパク質がしっかり摂れる肉は騎士であるエヴァンには欠かせない食材だ。

そして、タンパク質を含む他の食材で今回のお弁当に入っているのは卵焼き。