婚約破棄について、アーシェリアスのわがままを許したという言葉が気になって首を傾げていたミアは、ザックの名に眉を寄せた。
ミアがアルバートから聞いていたのは、婚約は解消され、アーシェリアスは家を出たという話だった。
てっきり追放されて仕方なく旅をしているだろうと予想していたし、意気消沈しているアーシェリアスに再会できたらフォローを入れつつアルバートと恋人になれたことを話そうと考えていたのだが。
「それじゃあね!」
どう見てもアーシェリアスは生き生きとしている。
アルバートを奪われたことを気にした様子もなく去っていく背中を見送りながら、ミアは目を細めた。
「……つまらない。元婚約者の余裕?」
たかが恋人だと思われているのか。
ならばと、ミアは次のステップを目指してアルバートの元へと向かった。
そんなふたりの様子を木の陰から伺っていた人物が眉間に皺を寄せる。
「ザック……? まさか……いやしかし」
思案するその者の目が追うのはスカートを揺らし走り去るアーシェリアス。
「念のため、確認だけしておくか」
ひとりごちた声をアーシェリアスは知る由もなく、ザックとノアが待つホロ馬車へと急いだ。
ミアがアルバートから聞いていたのは、婚約は解消され、アーシェリアスは家を出たという話だった。
てっきり追放されて仕方なく旅をしているだろうと予想していたし、意気消沈しているアーシェリアスに再会できたらフォローを入れつつアルバートと恋人になれたことを話そうと考えていたのだが。
「それじゃあね!」
どう見てもアーシェリアスは生き生きとしている。
アルバートを奪われたことを気にした様子もなく去っていく背中を見送りながら、ミアは目を細めた。
「……つまらない。元婚約者の余裕?」
たかが恋人だと思われているのか。
ならばと、ミアは次のステップを目指してアルバートの元へと向かった。
そんなふたりの様子を木の陰から伺っていた人物が眉間に皺を寄せる。
「ザック……? まさか……いやしかし」
思案するその者の目が追うのはスカートを揺らし走り去るアーシェリアス。
「念のため、確認だけしておくか」
ひとりごちた声をアーシェリアスは知る由もなく、ザックとノアが待つホロ馬車へと急いだ。