愛されているでしょう?

羨ましいでしょう? と言いたげな声色だが、アーシェリアスの注目点はそこにない。


(げっ、アルバートもいるの!?)


婚約は無事に解消されている。

両家の間には何も問題は起きなかったし、円満に済んだとも聞いている。

しかし、アルバートとミアという組み合わせに関わると毎回悪い方へ転ぶばかりだった為、アーシェリアスはまた濡れ衣を着させられてはたまらないと、全力で回避することを決めた。


「アルバート様との婚約破棄の話を聞いたわ。ごめんなさい、私のせいよね……。でも、アルバート様を責めないであげて。アルバート様はきっと私のことを思って」

「いいえっ、責めたりなんかしないわ。私のわがままを許してくれたアルバート様には感謝しかないもの」


話を聞いるうちにアルバートが来てしまうと面倒なので、ミアの声に被せ気味に会話する。

そして、手早く利用料を支払ってしまう。


「あなたのわがまま?」

「ごめんなさい、ミア! ザックたちが待ってるから行かないと」


すべき事を済ませ、あとは去るだけ。


「ザック?」