「あ、やりたい事あった」


神社に続く階段を下りながら綾が思いつく。


「私…カップラーメン食べてみたい」


口にしてすぐ綾は後悔した。


綾の母はファーストフードやカップラーメンを食べさせてくれず、その度にクラスメイトにバカにされた。


綾の母親は「添加物」にこだわる。


綾が「ラーメン屋に行ってみたい」と言った時も、「添加物だらけよ」とあしらわれてしまった。


代わりに母オリジナルの手作りラーメンを作ってくれたけど、醤油のスープに麺が浮かんだそれはあまり美味しくなくて、それ以降綾は母にラーメンを求めなくなった。


またバカにされる…

綾がそう思う間も無く、前を歩くリョウが答えた。


「じゃあ明日はカップラーメンな」