そっか…確かに母さんの言う通りかもしれない。
生きていることに理由なんていらないのかもしれない。
俺はまだ
「生きたいなぁ…」
それで、みちるに謝りたい。
俺は死ぬから、みちるを幸せにできないから、だからわざと傷つけた。
けど…それはきっと間違ってる。
「……母さん、頼みがあるんだ」
母さんに持ってきてもらった紙とペンを手に取り、みちる宛の手紙を書くことにした。
手紙なんて小学生の時に書いたのが最後だから、書き方なんて忘れてしまった。
それでも、なんとか書き上げた手紙には…
子供の時に受けた手術が失敗していたこと、
あの時言った言葉は嘘だってこと、
幸せだったことを言葉にした。
できた手紙は母さんに渡した。
『4月1日、同じ高校の神咲みちるって子に渡してほしい』
4月1日は俺とみちるが付き合い始めた日。
俺にとっては特別な日だから、渡すならその日がいいと思ったんだ。
たぶんだけど…みちるは手紙を読んだら泣くだろう。
だから、もう一枚の小さな手紙を残すことにするよ。
それを見て笑ってくれますように。
小さな手紙にはそんな願いを込めた。
次の日、俺の容態は悪化した。
近くには泣いている母さんと、慌てた様子の看護師さん。
徐々に意識が薄れていくのがわかる。
いつも、寝るのが怖かった…目を閉じるのが怖かった。
そのまま死んでしまうかもしれなかったから。
明日が来ないかもしれなかったから。
でも、もういいんだ。
思い残すことはもう何もない。
幸せだった、生まれてきて…母さんの子でよかった。
みちるに出会えてよかった。
生まれ変わったら、またみちるに会いたいな。
どうか、みちるが幸せになりますように。
さようなら
ー愛斗sideENDー
最後まで読んでくださった方、1ページでも見てくださった方ありがとうございます。
この作品は数年前に書いたものをリメイクした作品になります。
書いた当時私は高校生で今は社会人です。
自分で言うのもあれなのですが、恋愛小説を書いていた当時は全く共感できないしむしろあまり恋愛が好きではなかったです。
社会人になった今では、出会いがほしい、もっと青春したかった、後悔することばかりです。
大切なものとか人って無くした時に気づくって言いますもんね…。
これからはできるだけ後悔のないよう生きたいなと、この作品をリメイクしながら思いました。
改めて、この作品に目を通し頂きありがとうございました!
感想・かんたん感想・レビュー書いて頂けると嬉しいです…!
吉田ゆら